Monday, November 06, 2006

凍える荒野の死闘 - 1

Link : Prologue


「解った、すぐ行こう」
 テストゥッギネは武器を持つ。通信機から、続いて指示が入る。
「発信された信号の座標をお教えします……危険なときはすぐに言ってください」
 オペレーターから口頭で座標が伝えられる。今の自分の位置から、すぐ近くであることが解るが……レーダーには、味方以外にも何かの機影が見られる。
 テストゥッギネは鋭くそれに気付いて足を止める。
「こちらの情報によると、連絡のあった地点は今居る座標の近くの筈ですが……テストゥッギネ、どうしました?」
 オペレーターはまったく気付いていない様子だ。遠距離からレーダーを参考に指示を出すだけで実際にその場の空気を感じ取れないので無理は無いだろう。テストゥッギネは様子を見ようとするが、安全に様子を見ることができるような場所は見当たらない。つまり、相手の様子を窺うには、相手に見つかることを覚悟しなければならないというわけだ。
 オペレーターにも黙ったまま覚悟を決めるテストゥッギネ。通信機に一言だけ、言葉を発した。
「うまく偽装しているけれど……悪魔軍だ」
 それだけいうと、テストゥッギネは反応を待たずに飛び出した。オペレーターはテストゥッギネを制止しようとするが、気付いたときは既に遅かった。
 あまりにも眩しい白銀はまったく気にならない。瀕死のロボを助けるためには、この程度はなんとも無いし、何も感じない。多少美しいと感じることはあっても、それは今となっては大して意味を持たない。テストゥッギネは冷たい陽光の下に姿を晒した。
 目前に居るのはやはり悪魔ロボで、数は恐らく10を数える程度か。しかし、それでもテストゥッギネ一機ではどうしようもないような数ではあるが、それでも冷静に周りを見渡した。転送装置が二台、見たことの無いような装置も二、三台ほど、そしてリーダー格と思われる大型のロボが一機。そして、救援信号が発信されたと思われる場所を見るが、そこには何も無かった。
 リーダー格と思われるロボが、テストゥッギネの方向を向いて喋り始めた。
「フン……コソ泥の天使軍共が、懲りずに又来たようだな」
 漸くレーダーのそれが全て悪魔軍だと悟ったオペレーターは、言葉を失った。それは敵の数だけでなく、救うはずの天使軍の機影が存在していなかったからだ。
「俺様がこの力を手に入れた以上、計画は隠すほどでもなくなったが……そのまま逃げられるというのも俺のプライドが許さなくてな……」
 奴は手に持ったバズーカを、テストゥッギネに向けて言い放った。
「この力の……実験体第二号になって貰うとするか!」
 テストゥッギネは何もいわなかった。通信機から、オペレーターが言う。
「まさか、悪魔ロボが……偵察ロボは、もう……」
 テストゥッギネは怒りに打ち震えていたが、それでも彼自身が驚くほどに冷静だった。奴の挑発にはまったくの労ともせず、静かにオペレーターに指示を仰いだ。オペレーターはそれを察して、すぐに対策を立て始めることとした。
「援軍の派遣を要求します。多少時間がかかると思いますので、それ迄時間を稼いでください」
「……了解した、できるだけ早く頼むよ」
 一旦通信を終了し、目線を奴に向ける。今はどう見ても多勢に無勢、どれだけ頑張っても勝つことはできない。しかし仲間を殺されて本当に黙っていられる程冷酷でもないテストゥッギネは今、自分ができる限りで最善の策を実行しなければならない。時間は無く、策があれば即行動に移さなければならない状況であった。
「ははは……この俺様を、普通の悪魔ロボと一緒にしてもらっては困るな! 俺様が手に入れた不死身の力、そして無敵の刃、恐怖とともに味わうがいい!」
 奴が動くより早く、テストゥッギネは右手に持った銃を奴に向けて撃ち払った。

「現時点で、調査員達は全員無事です」
 調査任務に就いているロボの安否を確認するために、ミッションセンターは吹雪が止んでから今までずっと人だかりができていた。そして吹雪が止んでから数時間たった今、漸くアナウンスが流れた。全員無事というアナウンスにロボ達は安堵の声を上げた。良かった、無事だったか、という声の中、マルコシアスは声一つ立てずにその場に立ち尽くしていた。
「つまり、テストゥッギネも無事だということですよ」
 アラ・ネラが言うが、マルコシアスは反応しない。普段は割と大雑把な性格ではあるが、仲間の生命までもが絡んでくると途端に慎重になる奴だ。
 そのマルコキアスが、ゆっくりと言った。
「本当に大丈夫なのか? 流石にオペレーターの言葉を信じないわけじャ無いが、100%の安全が確保されたわけじゃない……特に先輩は多少のダメージも言葉で隠すような奴だから信用ならねェ」
 決して怯むことなく、決して惑うことなく、今までを共に戦ってきたマルコキアスは言い切る。マルコキアスは常に仲間に気を配り、その火力と耐久力で仲間を守る鉄壁の役割を果たしていただけに、コマンドーチームの中でも新参者でありながら鋭く見抜く。
 更にアナウンスが入った。
「次の方々は、第50番マッチングルームにお越しください。アラ・ネラ、マルコキアス、カヴァリエール……」
 喧騒の中、大半が耳に通さないようなアナウンスだった。しかしアナウンスを聞いた途端、マルコキアスは叫んだ。
「アラ・ネラ! 他の皆を呼んで50番マッチングルームだ!」
「解っています、すぐ行きます!」
 マルコキアスはマッチングルームへと走った。マルコキアスの予感は、全く別の形ではあるが的中していた。



 そして本編と異なり段々カオスな方向に進んでいく。ここまで書いておいて未だにミッションのSTAGE1開始相当とは……

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